あなたは腕時計をいくつお持ちだろうか?
毎日使っているのであれば問題ないだろうが、何本もコレクションしている場合には少し注意が必要になる。
なぜ注意が必要かというと管理が行き届かなくなり、悪影響が出る可能性があるからだ。
しかし、しっかりと管理できていれば余計な心配はしなくて済む。
そこで腕時計の保管で守らなければならない注意点とは何か、ポイントを押さえてご紹介していこう。
時計は止まったままだと壊れるって本当?
いくつも腕時計を保管していると、休眠状態になってしまうことがあるが、使わないで保管しておくと壊れてしまうのだろうか?
その答えは「壊れる可能性があると言えるが、絶対に壊れるとは言い切れない」というのが現実だ。
例えばクオーツ式時計の場合、電池が切れて止まったままの状態が続くと、過放電によって電池から液漏れすることがある。
この液漏れが原因で錆が発生して、故障する可能性が高くなる。
最悪の場合には修理不可能ということになりかねないので、電池切れには十分に注意して管理、交換するようにしたい。
機械式の場合はどうかというと、止まったままの状態が長く続くことで、油が固まったり動きが悪くなることが考えられる。
状況によってはオーバーホールをする必要が生じるが、必ずしもそうなるとは限らない。
逆に止まっていると摩耗しないため、部品を交換することが少ない。
そうはいっても止まったままだと故障が心配であれば、1ヶ月に1回程度はゼンマイを巻いて動かすことをおすすめする。
自動巻きの場合にはワインディングマシーンを使って、常に動かしておくのも一つの方法だ。
保管する際に絶対に守る重要ポイント
直射日光に当てない
腕時計を保管する際には、直射日光が当たらない場所に保管しよう。
強い紫外線が当たると文字盤が焼けて劣化することがあり、場合によっては交換しなければならないケースもある。
腕時計は家の中だけでなく屋外でも使われるため、経年劣化を避けることはできないが、より良い状態を保つには気を付けたい。
これがアンティーク時計となれば話は別で、きれいにな色に変化していることで価値が上がったりする。
しかし、あくまでも結果であって、必ずしも狙ってこの状態にできるとは限らないので注意しよう。
高温多湿を避ける
高温多湿の環境は腕時計の故障につながるので避けるようにしたい。
車内や暖房機器の近くなど高温になるところに置くと、時間の狂いが生じたりパッキンの劣化、文字盤を傷める原因にもなる。
時計を保管するのに適した温度は、基本的に普段生活している範囲と考えておこう。
また、湿気が腕時計の内部に入り込むと錆を発生させることがある。
特に完全防水でない時計でガラスが曇ったりしたら、急いで販売店や修理業者にチェックしてもらうようにする。
磁気の近くに置かない
腕時計はとても精密にできており磁気の影響を受けやすいため、決して近づけないようにしていただきたい。
そのためスピーカーやパソコン、家電などの近くは置かないように注意しよう。
また、磁気ネックレスのような健康器具といっしょに保管するのも悪影響を受けるので避けた方が無難だ。
保管スペースの問題もあるが、少なくとも10cm程度離すことをメーカーも推奨しているので収納の際には参考にしてほしい。
クオーツと違い機械式時計の場合には、一度磁気を帯びてしまうとその影響が続くため修理が必要になる。
薬品の影響に注意する
薬品によっても影響を受けることがあるので、保管場所には薬品類を置かないことが大切である。
揮発性のあるシンナーやベンジン、アルコールやガソリンなどは劣化の原因となるので付けないよう注意する。
また、これらが気化している状態の中に置くのも厳禁である。
その他にもマニキュア、トイレ用洗剤といったものも、ひび割れや変色を起こすことがある。
同様に防虫剤も劣化させることになるので、一緒に保管しておいてはならない。
タイプによって異なる保管上の注意
手巻き式
完全に停止状態にしておくのであれば、ゼンマイがなくなるまでそのままにしておけば済んでしまう。
しかしこの状態が長く続くのは、必ずしも良い状態とは言い切れないのだ。
確かに部品の消耗を考えるとベストな方法かもしれないが、潤滑油が固まって故障するケースが見られる。
これを防ぐには長期保存の後はオーバーホールすることが望ましく、そのまま使ってしまうと修理が必要になることもある。
そう考えると常に動かしていた方が、腕時計にとっては良いと言えないだろうか。
少なくとも1ヶ月に1回程度、定期的にゼンマイを巻いておくほうが、精度を保つためには好ましいのは確かである。
自動巻き
自分でゼンマイを巻く手間がいらないのが自動巻きの長所でもある。
ただし長期保管しておくとなると、手巻時計同様に精度の低下や故障に原因になることが考えられる。
したがって止まったまま保管しておくのではなく、動いている状態で保管するか時々は動かしてあげるのが良いだろう。
定期的にゼンマイが巻かれているのなら問題ないだろうが、うっかりそのままということもあり得る。
そんな時にはワインディングマシーンを活用する方法もある。
ただし内部の状態まではチェックできないので、販売店と相談しながらオーバーホールを検討しておくと安心だ。
クオーツ
クオーツの場合には、電池に寿命があることを忘れないようにしたい。
怖いのは電池切れの状態が続くと液漏れの心配があることだ。
したがって交換のタイミングを逃さないようにチェックするか、定期的に交換するのが良いだろう。
電池は抜き取っておくこともできるが、長期間動かないままにしておくのは他のタイプの時計同様に好ましいことではない。
秒針のついた時計は電池を消耗しやすい傾向にあるため、早めに交換しておきたい。
寿命はリチウム電池を使っている場合でも2年~3年程度と考えておくのが無難だ。中には5年以上使えるケースもあるが、過信は禁物である。
ソーラー
光によって発電されて動くソーラー時計は、電池の交換もゼンマイを巻く手間もいらない。
その反面、暗いところでは充電されることがないので動かないのが短所である。
ではどうしたら良いかと言えば、明るい場所を選んでたっぷりと充電させるのが確実な方法だ。
しかし直射日光に長時間当てると高温になるので決して良いことではない。そうかといって、引き出しの中に入れてしまうとまったく充電できない。
なるべく止めないことを考えると、1ヶ月に1度は丸一日充電させるようにしたい。
もし完全に放電してしまうと、再び正常な状態になるまでに25時間~30時間の充電が必要となり、1日8時間としても4日は必要になる計算だ。
時計は扱い方と保管方法で長持ちする
腕時計はそれぞれのタイプにあった扱い方をするようにしたい。
そうすれば期待に応えてくれるはずであり、あなたも満足できるに違いない。
ところが一緒くたにしてしまうと故障しやすくなるので、残念な結果になってしまう可能性がある。
そうならないためにも、こまめにチェックして管理することが重要になる。
面倒と思う部分もあるだろうが、ここをしっかりやっておけば確実に長持ちするのだ。
時計の中身は精密機器なので、いい加減な付き合い方をしていると思わぬ故障につながりかねない。
必要以上に神経質になることはないが、ポイントを押さえて最低限のことはしっかりおこなうようにしたい。
そして、丁寧な扱いと正しい保管方法を心がけて長く愛用していただきたい。
コメント