絵画と言っても日本画や洋画、水彩画や油絵といったように分類され種類もさまざまだ。
それぞれが特徴的で多くの人を引き付ける魅力を備えている。
あなたも何らかの絵画をお持ちかもしれないが、保管方法はどうされているだろうか?
ここでは大切な絵画を保管する上で役に立つ保管方法や場所、そして環境といったものを知っていただいて参考にしてほしい。
絵画の保管環境が重要になる理由は?
保管環境は絵画を良好な状態を保つ上でとても重要になる。
その理由は見た目以上にデリケートな芸術だからである。特に温度や湿度、紫外線の影響が絵画を傷める原因になっている。
温度や湿度が高くなるとカビが生えやすくなってしまう。
特に日本の場合は、ヨーロッパなどと比較してみても高温多湿の環境であるため注意が必要になるのだ。
カビが発生すると絵画を汚すことになり、修復するのも困難になってしまう。状態によっては、元に戻せないこともある。
また油絵の場合、絵具には油が使われているため、高温よりは低温で保存した方が良いとされている。
たからといって低湿度なら良いかと言えば必ずしもそうではなく、湿度が低過ぎると剥離といった問題が起こる可能性があるのだ。
したがって美術館などでは、絵画を保護するために厳しい温度と湿度の管理をおこなっている。
もちろん一年を通して一定に保たれているので、夏場などは館内に入った時にひんやりと感じた経験があるかもしれない。
紫外線も温度や湿度と同様に絵画に大きな影響を及ぼしている。
それが変色や退色といったもので、屋外に貼られたポスターなどが色あせているのを見たことがあるかもしれない。
そればかりでなく劣化させることもある。そのため美術館の館内は絵画を保護するために暗くしていたるする。
このように絵画を守るためには、出来る限り良好な環境に近付けてやる必要があるのだ。
どんな環境が保管に適しているのか?
絵画にとってどんな場所に置くのが最も良いのだろうか?
美術館と同じ環境を作り出すのは困難だが、理想に近付けるための知識として知っておいていただきたい。
まず温度だが18℃~22℃が良いとされている。
しかしこれを自宅で再現するとなると簡単にはいかない。常に温度調整をしておく必要が出てくるからだ。
したがって、普段生活している温度帯で保管できるように注意し、外気と同じにならないように心がけたい。
湿度は50%~60%に保っていれば安心と言える。
湿度が高いとカビの原因になるため、湿気の多い時期は特に注意が必要になる。
そのままの状態ではカビが発生しやすいので、除湿効果を高めるために乾燥剤や除湿剤の利用をおすすめしたい。
ただし、乾燥のし過ぎは良くないので入れ過ぎないようにしよう。
保管場所には温湿度計を設置して、時々チェックすると良いだろう。
また、紫外線が当たらないようにするため、照明にも注意を払って紫外線を発しない蛍光灯やLEDランプにするなどの対策をおこないたい。
基本的な絵画の保管方法と注意点は?
絵画を保管する方法や注意点について見ていこう。
良好な状態を保つために必要なことなので、気を付けて保管していただきたい。
まずは直射日光や空調の風が当たらない所に保管する。紫外線は劣化の原因となり、空調の風が直接あたると結露する可能性がある。
額装の際にUVカットアクリルやガラスを使用するのも、紫外線による劣化から絵画を守るには有効だ。
また、裸のまま置かずに、必ず袋に入れたり箱に入れて保管しよう。
そして湿気の少ない晴れた日を選んで、時々は取り出して空気に当ててやる。ちょうど虫干しの要領でおこなうと傷みを防ぐ効果がある。
湿気の多い場所で保管するとカビだけでなくシミができたり、波打ったように歪んでしまう。
カビやシミは取り除くのが難しく、強いクセがついてしまうと完全には戻らないのできちんと管理しておきたい。
置き方にも注意して縦置きを基本とし、横にして積み上げないようにする。破損の原因となる。
波打ったからといって、安易に上から重しを載せるようなことをしてはいけない。
もし問題を発見したら、手遅れにならないうちにプロに修復してもらうのがベストであり、自分で直そうなどと思わないことだ。
その他にも埃を払ったり、額縁のガラスやアクリルもきれいに拭いておくことは欠かさないようにしたい。
自宅とトランクルームどちらが良いか
美術館でもない限り理想的な環境を確保するのは大変なことである。
では保管を考えた時に、自宅とトランクルームではどちらが良いのだろうか?
より理想に近い環境が整っている点ではトランクルームの方が有利である。
ただしどんなタイプでも良いわけではなく、いくつかの条件をクリアしていることが前提になる。
その条件とは第一に空調を完備していることだ。それも温度と湿度が一定に保たれている必要がある。
そして清潔な環境であることも重要になる。
いくら空調を完備していても、埃だらけの中に絵画を置いておくことなどできない。もちろん日差しが差し込んだり、空調の風が直接当たらないこともポイントだ。
これらがチェックできたら必要な広さを確保して、整然と並べておきたい。
こういった環境を自宅で確保するのは大変である。エアコンを常につけたまま何年も続けるのは困難と言える。
ならばトランクルームで用意されている環境を、上手に使っていくのがベストではないだろうか。
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