あなたの家ではお雛様の保管をどうされているだろうか?
押し入れや納戸に他の荷物と一緒に置かれているケースが多いかもしれない。年に1回しか飾らない上、片付けるのも面倒といった理由で、扱いが雑になりがちだ。
しかし長く付き合っていくものだけに大切にしたいところでもある。
そこでひな人形の保管環境や保管場所はどんなところが良いのが、そして正しい取り扱いはどうするのか見ていきたい。
お雛様に最適な保管環境とは?
お雛様を大切に保管するためには、最適な環境を用意しないといけない。
保管中に傷むのを防止するためには環境が大切になる。
では何に気を付ければ安心して保管できるかと言えば、次の3つがあげられる。
- 湿気が多いところを避ける
- 埃が付かないように保管する
- 害虫からの被害を予防する
まず湿気は厳禁であり、ひな人形に大きな害を与える原因となる。その害とはカビやシミのことだが、被害を受けてからでは非常に面倒である。
したがって未然に防ぐことが重要となってくる。
埃が付かないようにしておくことが大切で、カビの餌にしないためにも付いてしまったらきれいに取り除いておく必要がある。
また、防虫剤を使って害虫被害から守ることも忘れてはならない。
ご覧の通りお雛様は着物を着ている。そのためヒメカツオブシムシやイガといった害虫による”虫食い”の被害を受けやすい。
片付ける際にきれいにしているつもりでも、害虫の卵が付いていることがある。そのため保管中に幼虫となり害を及ぼす可能性が高い。
保管時の取り扱いと手入れ方法
素手で触ってはいけない
まず、ひな人形を取り扱う時は必ず手袋をするようにしたい。
特別なものではなく普通の綿手袋でOKであり、柔らかければ軍手でも問題ない。
何故手袋が必要かと言うと、素手で触ると皮脂が付いて汚れやカビの原因になるからだ。カビは皮脂をも餌にしてしまう。
手から出ている皮脂は本来ならば皮膚を保護する重要な働きがある。
しかし、ひな人形にとってはこの皮脂が大敵で、汚れるときれいにするのが大変になり、修復には時間と費用が掛かるばかりか完全に元通りにするのが困難になる。
そのため、未然に防止する必要があるというわけだ。
埃や汚れを落としておく
手袋をはめたら埃は羽根バタキを使って払い落しておく。
細かなところは柔らかい筆や刷毛を使ってきれいにしよう。特に着物の織り目や髪といった部分は埃が溜まりやすいの丁寧におこなう。
埃が残っているとカビが発生する可能性が高くなる。
すでに着物に汚れやカビが見られても、汚れを落とすのは難しいのが現実と心得ておこう。
顔の汚れの場合、綿棒で軽くふく程度にとどめておくのが無難だが、自己責任となるので心配ならばお店に相談してみるのが良いだろう。
綿棒で落ちないからと言って、ブラシなどで強く擦ってはいけない。もし、お雛様の顔が傷んでしまうと、修理に大きな費用が発生することになる。
人形は長年経つと自然に着物や顔にはよごれが目立ってくる。しかし、これは自然のことなので防ぎようがない。
手入れをしているつもりでも、少しずつではあるが黄ばんでしまうので、こういうものと考え神経質になり過ぎないようにしたい。
どうしても気になるようであれば、お店に問い合わせて相談していただきたい。
理想的な保管方法とは?
理想とする保管方法は、つぶれないように箱に入れておくことだ。
一体ずつ丁寧に入れておくことで型崩れせずに済むので、一つの箱に何体か入れる場合でもぎゅうぎゅう詰めにしてはいけない。
箱がない場合にはプラスチック製でも良いので、収納ケースや衣装ケースの購入をおすすめする。
頭は柔らかい紙で包んで保護しておくようにしたい。特別な紙でなくても、ちり紙やティッシュペーパーでもOKだ。
フワッと軽く包み込むようにするのがポイントで、きつく巻いたりしてはいけない。
後は紙テープを使って軽く固定すると良い。縛ると言うよりは一周巻いてから端をねじってとめておく程度で十分である。
箱の中にはひな人形専用の防虫剤を入れておくのが望ましい。一般の防虫剤では溶けだす恐れがあるので注意していただきたい。
保管後はそのまま1年放っておくのではなく、半年に1度は箱を開けてチェックする。
この時に虫干しを一緒におこなってしまおう。晴れた日を選び、風通しの良い日陰に出して半日ほど干すと良いだろう。
天気が悪いと湿気を持ち込むことになるので要注意だ。
理想的なトランクルームの条件
自宅で保管する場合は必ず室内保管とし、絶対に外の物置には保管しないことである。
湿気の多いところは絶対に避けなければいけない。押し入れに収納する場合でも、なるべく上の方に置くと影響が少ない。
だが、どうしてもスペースが確保できない場合にはトランクルームの利用をおすすめしたい。
その際に気を付けていただきたいことは、必ず空調の効いたトランクルームを借りることである。理由は湿気対策ができているからだ。
空調完備のトランクルームは、季節による外気の影響を受けにくい。その上、湿度もコントロールされているので理想的だ。
一年中空調が効いているので、自宅よりもひな人形に優しい環境と言えそうである。
保管環境として湿気はダメだが乾燥し過ぎていても良くない。したがって空調完備のトランクルームでは乾燥剤や除湿剤は特に必要ない。
ただし施設によって環境に違いがあるため、翌年までそのままにしておくのではなく、半年程度で必ず箱を開けて状態を確認することをおすすめする。
その上で必要に応じて乾燥剤や除湿剤の使用を考えれば良いだろう。
ジメジメした感じがあるようなら、湿気が多いことになる。その場合には早目に使用した方が無難である。
コンテナタイプでも短期間であれば保管可能であろうが、翌年までとなると空調付きの屋内型トランクルームを利用するのが正解と言える。
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