船外機は取り扱いも簡単で、小型ボートにはピッタリの動力である。
出力の小さいエンジンであれば免許も必要ないので、個人で楽しむ場合にはとても便利に使うことができる。
今回はそんな船外機の保管方法についてご紹介していこう。
また、欠かすことのできないメインテナンス情報もお届けするので参考にしていただきたい。
船外機は使いっぱなしではいけない
船外機は本当に手軽に使えるため、ついつい使いっぱなしになりやすいが注意しなければいけない。
その理由はきちんとした保管と管理ができていなければ、後々トラブルの原因になるからである。
特に困るのが使っている途中で故障することで、エンジンがかからないとプロペラも回らないため移動もできなくなる。
そうなるとオールを使って自力で漕がなければいけなくなるが、池で釣りを楽しんでいる程度でれば、さほど気にもならないかもしれない。
しかし、これが海だったらどうだろう?
漕ぐのが大変になるのはもちろんだが、安全面でも問題があることを良く理解しておきたい。
ご存じの通り海には波だけでなく、潮流という海水の流れもあり不安定で流されやすい。
状況によっては手漕ぎで戻るのが困難になることも考えられ、危険にさらされる可能性さえあるのだ。
それを考えると日頃からきちんと整備しておくことが、とても大切なのが良くわかるはずだ。
船外機を長期保管する前にすべきこと
水洗いをおこなう
海水や泥水で使った船外機は使い終わったら必ず洗っておく習慣をつけたい。
そうしないと錆や汚れによって動かなくなってしまうからだ。
水冷式の船外機は水を取り込んでエンジンを冷やしている。したがって使用後は洗浄をおこない、塩分や汚れを取り除いておく必要がある。
同様に冷却経路だけでなく外側も真水できれいに洗っておかなくてはならない。
錆対策が施されているといっても絶対に発生しないわけではなく、一度発生すると徐々に内部まで浸透してしまうのである。
水洗キットやフラッシングディバイスを使う方法もあるが、バケツを使ってやる手順は次のようになる。
- プロペラを外す
- 船外機をスタンドにセットする
- 冷却水取り込み口より上まで入るバケツを用意する
- 水を冷却水取り込み口より上まで入れる
- ニュートラルの状態でエンジンをスタートする
- 5分~10分循環させたら完了
十分に洗浄をおこない、しっかりと塩分や泥を落としておこう。
また、船外機を使った際にはすぐに止めないで、必ずアイドリング状態で冷気運転をするように心がけよう。
こうすることでエンジンの温度が下がり、内部で塩や汚れが固まるのを防ぐ効果があるのだ。
洗浄が終わったら、必要に応じて摺動部分に防錆スプレーを吹き付けたり、グリスを塗っておくと良いだろう。
燃料を抜き取る
ガソリンは長期間そのままにしておくと変質してしまう。
頻繁に使っているのであれば特に問題はないだろうが、ずっと入れっぱなしにしておくのは好ましくない。
変質することでエンジンの調子が悪くなったり、スタートできないといったトラブルが起こりやすくなる。
そのため、燃料タンクやキャブレターは空の状態にしておくのがベストである。燃料タンクがプラチック製の場合には割れにも注意したい。
2サイクルエンジンではガソリンとオイルの混合ガソリンを使うので、ガソリンだけが揮発してしまうとエンジン不調の原因となる。
したがって、長期保管の場合には抜き取ってあげるのが望ましいと言える。
オイルを注入する
船外機が4サイクルエンジンの場合、シリンダー内に少量のエンジンオイルを注入しておこう。
やり方は簡単で点火プラグを外して少量入れた後に、リコイルスターターをゆっくりと数回引いてなじませておく。
この時に時に重くなる位置があるので、そこで止めておくことでエンジン内部が密閉状態になり保護される。
ただし短期保管の場合にはやらない方が良く、2サイクルエンジンの場合にも構造上の違いからおこなう必要はない。
置き方に注意する
保管するの際の基本的な置き方は立てておくことである。
メーカーによっては寝かせて保管しても良い場合もあり、注意書きに明記されていることがある。
この場合には指示に従っていれば横にしても問題ないが、それ以外は立てて置いた方が間違いない。
きちんと守らないと、オイルがキャブレターや燃焼室にまで入ってしまい始動できなくなる。
場合によってはオーバーホールが必要になることもあるため、十分に注意したいものだ。
保管場所を選ぶ
船外機は屋外で使われるため丈夫なイメージがあるかもしれないが、保管場所は選ぶようにしたいものである。
まず、決して屋外でシートをかけておくような保管をしてはならない。
傷めないためには直射日光を避けて、湿気の少ない所を選ぶようにする。
そうなると屋内での保管が理想的で、雨風の当たるような場所には置かないことだ。
とはいって自宅内に持ち込むほどのこともなく物置で十分である。
また、出し入れのしやすさも考えて、邪魔にならない場所を確保するのが良いだろう。
定期的なメインテナンスも必要になる
保管前にすべきことの他に、定期的なメインテナンスを欠かさないようにしたい。
これを怠ると、船外機の寿命が縮めることになるので必ず点検や交換をおこなう。
- エンジンオイル
- オイルエレメント
- ギヤオイル
- 点火プラグ
- 燃料フィルター
- インペラ
- 防食アノード
- タイミングベルト
- ホース類
- プロペラ
代表的なのがエンジンオイルの交換であるが、4サイクルエンジンのみの作業になり、2サイクルエンジンでは不要である。
交換の目安として6ヶ月、または100時間と指定されていることが多いが、どちらか早く達した方で交換しておけばOKだ。
オイルはマニュアルをよく読んで確認し、指定のものを使っていただきたい。
オイルエレメント(オイルフィルター)が付いているエンジンでは、エンジンオイル2回にオイルエレメント1回の割合で交換しておく。
同様にギヤオイルも交換が必要になるが、こちらは2サイクルエンジンが200時間、4サイクルエンジンが100時間といった具合に指定されているのでマニュアルをチェックしておこう。
また点火プラグも消耗部品と考え、電極が消耗していたりカスが溜まっているものは交換するようにしよう。
キツネ色に焼けているようであれば、良好な燃焼状態なので問題ない。
燃料フィルターも点検をおこない、ゴミが詰まって汚れていたら交換しよう。
インペラは分解しない限り見ることができないので、冷却で排水される水の状態を見て判断する。
勢いがなくて出が悪い時は破損していたりする可能性が高く、オーバーヒートもしやすい状態になっているはずだ。
防食アノードも消耗していると効果が落ちるため、1/3程度の消耗が見られたら交換するようにしたい。
注意点として、防食効果がなくなってしまうので錆止めは絶対に塗ってはいけない。
タイミングベルトが摩耗していたり、ひび割れがあったら交換する。万が一にも切れるようなことがあるとエンジンが動かなくなってしまう。
ホース類もチェックして、ひび割れているようならば新しくする必要がある。
プロペラは傷やヒビ、破損がないか確認して、異常がある場合は交換しなくてはならない。
この時、固定ナットの緩みがないことや割ピンが腐食していないかも見ておこう。そして半年に1回程度は外して耐水性グリスを塗ってあげると良いだろう。
その他にも状態によっては、全体的なオーバーホールが必要になることもある。
そのため、自分で全部見れない場合には、サービス工場に依頼してメインテナンスを受けるようにするのが良い。
船外機は水辺で使われるため、想像以上に大きな負荷がかかっている。しかし、こまめに手を掛けることで長く使えるのも確かだ。
この機会にもう一度見直して、大切に使っていただきたいものである。
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