乗り物好きな方ならロードバイクやオートバイ、あるいは車の整備をされることがあるのではないだろうか。
その際、ネジの締め付けでトルクレンチを使用する場合があると思うが、正しい保管ができていないと様々な不具合が生じてしまう。
そこで、どのように管理していけば良いのか?そして何に注意しなければいけないのか見ていきたい。
トルクレンチを長持ちさせるための参考にしていただければ幸いである。
トルクレンチが必要になる理由とは?
トルクレンチの役割は締め付けの強さを一定に保つことである。
ではどうして一定にしなければならないのか?
その理由は様々あるが、もし締め付けの強さがバラバラであると様々な影響を及ぼすことになってしまうからだ。
まず、締め付けが均一でないと歪みが生じる可能性が高くなる。その結果、正常に動作しなる可能性がある。
それに、本来なら平面であるものが歪んでしまうこともあり、隙間ができてオイルなどの漏れが発生したりするのだ。
また、十分なトルクで締め付けていないと、走行中に緩んでしまい大変危険と言える。
ネジの脱落は運転に影響を及ぼすだけでなく、最悪の場合には事故につながってしまうので、絶対に避けなくてはならない。
逆に締め過ぎるとパーツが割れる原因になりかねないばかりか、修理の際に緩まなかったりネジの頭をなめてしまうこともある。
このようなことを防ぐ為には、規定の強さで締め付ける必要があり、それにはトルクレンチを使ってきちんと管理することが大切になる。
正しい保管方法と取り扱い上の注意点
衝撃を与えない
メーカーではトルクレンチを精密機器と位置付けており、取り扱いには十分注意をしなければならない。
したがって”衝撃”や”振動”を与えないことが最も重要になる。
使うときもそうだが保管の際にも丁寧に扱う必要があり、くれぐれもぶつけたり落とすことのないようにしたい。
無造作に作業台の上に置いたり立て掛けていたりすると、落下したり倒れたりして壊す原因にもなる。
また当然ながら、ハンマーの代わりに叩いたりしてはならない。
そして使い終わったトルクレンチはすぐにケースに入れるようにしたい。
慣れてくると多少のことなら大丈夫だろうと思いがちで、気付かぬうちに荒っぽい使い方になってしまうため注意したい。
そのためにも、デリケートなツールであるという意識を持つように心がけることが大切だ。
定期的な精度確認
どんなに気を付けて使っていても、年月が経つにつれて狂いが生じることがある。
これを正常に保つには校正や調整が必要になってくる。
狂いをチェックするにはトルクレンチテスターを用いるが、数十万円もするほど高価なため簡単に購入できない。
したがって通常は工具メーカーや専門の業者に依頼することになるだろう。
料金はトルクレンチのタイプによって異なるが、校正と調整をおこなって5,000円~10,000円程度は必要になると考えておこう。
この作業は1年に1回以上おこなうことが推奨されているので、定期的にチェックしておくと安心だ。
もし狂いが生じたままで使用していると、締め付けトルクが不足したり逆にオーバーすることも考えられる。
その状態のままで使い続けると、問題の発生につながるのでとても危険と言える。
保管時の設定
保管する際にはケースに入れおくことはもちろんだが、設定にも注意しておきたい。
ただしこれはプレセット型やモンキー型トルクレンチの場合であり、やり方はいたって簡単だ。
それは測定範囲の最小値に設定しておくことである。
例えば5~25N.mの間で使用が可能なトルクレンチであれば、最小値である5N・mにしておけばOKだ。
こうすることによって、内部のスプルリングのへたりを防いで精度を保てるため、絶対に守っていただきたい作業である。
精度を守るためにはとても大事なことなので、うっかり戻し忘れないように、片付ける前に必ず確認する習慣をつけておこう。
心配な場合にはケースに”保管トルクを確認”と表示しておくのも効果的だろう。
保管環境の確保
トルクレンチを保管する際には環境を考える必要がある。
高温多湿であったり、直射日光のあたる場所での保管は、絶対に避けるべきと理解しておこう。
こういった環境の悪さはトルクレンチの精度が低下したり早く傷める原因になり、正しい締め付けができなくなってしまう。
その他にも振動や衝撃を与える場所も厳禁である。
精度を必要とする工具だけに、狂いが生じないようにくれぐれも注意していただきたい。
また、埃もトルクレンチにとっては大敵なので、なるべくクリーンな環境を選ぶのがべストと言える。
ついつい他のツールと同様に扱いがちだが、最初にお伝えした通りトルクレンチは精密機器と同じだ。
したがって環境による影響を受けやすいことを忘れないようにしていただきたい。
基本的な管理は取り扱い説明書に従う
トルクレンチの管理は取り扱い説明書に従うのが基本である。
それは何故かというと、タイプによって仕様が異なるため、それぞれに合った使い方と保管をしなければならないからだ。
つまり、あなたが持っているトルクレンチに合った取り扱い方をしなければならない。
そうしないと故障や破損、あるいはケガをする原因にもなるので十分気を付けたい。
使い慣れているトルクレンチであれば、要領を得ているため特に心配はいらないだろう。しかし、タイプが異なると誤解や勘違いしやすい。
それを防止するのが取り扱い説明書なので、しっかりと読んでおこう。
また慣れてくると基本さえ忘れ易くなるので、再確認することをおすすめしたい。
手に油が付いた状態で使うと滑って危険であるとか、使い終わったら埃や油、水などをきれいに拭き取っておくのは基本の中の基本である。
他にもパイプを使って能力以上の力を加えない、締め付ける時はしっかりと奥まで差し込むといったこともそうだ。
このようにトルクレンチを正しく使って保管する方法は、すべて取り扱い説明書に明記されているので、ここでもう一度読み返してみてはいかがだろうか。
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