レインウェアは傘がさせない場面で活躍してくれる便利なアイテムである。
身体を濡らさないだけでなく、体温が奪われて体力を消耗するのも防いでくれるので、防寒具としての役割も持っている。
もしレインウェアの保管や取り扱いが悪かったらどうだろうか?
いざという時に使えなくなってしまい、あなたの身体にも悪影響を及ぼす恐れさえあるのだ。
そうならないために、ここでは正しい保管方法と傷めないためのコツについてご紹介していくので参考にしていただきたい。
レインウェアが劣化する原因
レインウェアも何年か使っていれば傷んでくるものだが、実は保存しておくだけでも劣化してしまうことがある。
その代表的なものが”加水分解”と言われるものだ。
加水分解というのはレインウェアと水が反応することで”分解”される現象であり止めることができないとされている。
あなたも経験があるかもしれないが、劣化してボロボロになったり、縫い目に防水目的で使われているシームテープが剥がるといった症状が現れる。
特にポリウレタン(PU)で良く見られる現象で、シームテープや接着剤にも使われており注意が必要だ。
長い間履いていなかった靴のソールがボロボロになるのも加水分解によるものだ。
加水分解によって劣化が進むと防水の機能が低下して、レインウェアとしての役目を果たさなくなってしまう。
一度こうなってしまうと修理をするのが困難で、完全に元通りにはできないのだ。
こういった現象はほとんど使っていないからといって安心できない。なぜならば保管中こそが加水分解の影響を受けやすいからである。
それをなるべく避けるためには、正しい取り扱いと保管方法を知って実施することが重要になる。
保管前に必要なメインテナンス
汚れをきれいに落とす
使った後のレインウェアは意外と汚れているものである。
したがって雨に濡れただけなので大丈夫などと思わないでいただきたい。
雨には空気中の埃やチリが含まれていたりするが、それだけでなく地面に落ちた雨水によって汚れることもあるだろう。
また、服の上から着ているとはいっても、汗や皮脂が付いてしまうのは防ぐことができない。一見きれいに見えるレインウェアだが、実は意外と汚れていたりするのだ。
これをそのまま放っておくと傷みの原因になるので、洗濯することをおすすめしたい。
レインウェアを洗濯しても”大丈夫なのか?”と心配されるかもしれないが、正しいやり方をすれば大丈夫である。
手順は以下のようになるので参考にしていただきたい。
① 自宅で水洗いができるか、そして洗濯機で洗えるのか洗濯表示を確認する。
② 全部のファスナーを閉じてヒモ類は緩め、フードは広げるか取り外しておく。
③ 洗濯ネットに入れ、専用洗剤か柔軟剤が含まれていない中性洗剤で洗う。
④ すすぎは通常の2倍の回数おこない洗剤分をきれいに洗い流す。
⑤ 脱水はせずにタオルなどで水分を取ってから、陰干しで乾燥させる。
① 自宅で水洗いができるか洗濯表示を確認する。
② 全部のファスナーを閉じてヒモ類は緩め、フードは広げるか取り外しておく。
③ たらいに専用洗剤か柔軟剤が含まれていない中性洗剤を入れ押し洗いをする。
④ 頑固な汚れはスポンジで軽く丁寧にこすって落とし、ブラシは使ってはいけない。
⑤ 十分にすすぎをおこない、タオルなどで水分を取ってから陰干しで乾燥させる。
撥水効果を回復させるには洗濯時に撥水剤を入れたり、洗濯後に撥水スプレーを使うようにする。その上でアイロンがけをしておくと完璧だ。
アイロンをかける際は必ず低温に設定しておき、当て布をして生地を傷めないように十分に注意しながらおこなってみよう。
洗濯する頻度だが基本的に着用の度におこなうようにしたい。特に長時間着続けたり、汚れが目立ってきたら洗い時でもある。
レインウェアは毎回必ず着るものではないが、保管中に傷めないためにも常に清潔を保つように心がけたい。
湿気を残さない
レインウェアは湿気のない状態で保管するようにしたい。
もし湿気があると臭いが発生したりカビの原因になるからだ。そうなると着用したときに不快感を感じることになってしまう。
さすがに雨で濡れたままでは保管しないと思うが、十分に気を付けてほしい。洗濯した際も同様で、しっかりと乾かすことが重要と言える。
乾燥が不十分であったり、湿気のある場所に保管するとトラブルが起こりやすくなる。
また、レインウェアは比較的保管している期間が長い。そのため場合によっては気付かずに数ヶ月過ぎてしまうことも珍しくない。
それだけに湿気には気を付け、常に乾燥した状態を保つようにしたい。
傷みを直しておく
保管する前には必ず傷み具合をチェックする習慣をつけておくのが良いだろう。
そうすればいざ着ようとした時になって破れや穴に気付くといったトラブルも防げるはずだ。
特に雨期にはレインウェアを着る機会が増えるので、破れているようではよろしくない。
第一、小さな傷程度で買い替えるのは勿体ない話でもある。
そんな時は補修用のリペアシートを使って修理することをおすすめしたい。
使い方はとても簡単で、適当な大きさに切って貼り付けたら上からアイロンをかけ、熱を加えて完全に密着させれば完成である。
中には貼るだけのタイプもあるが、アイロンを使うタイプの方が強力に接着するのでおすすめしたい。
また、縫い目に使われているシムテープも浮きが見られたら張り替えてしまうと安心だ。
古いシームテープを剥がして、新しいものをシワにならないように引っ張りながらアイロンで仮付けをしたあと、当て布をしてしっかりと密着させればOKである。
たったこれだけのことで買い替える必要がなくなり出費も抑えられるので、しっかりとメインテナンスしておいていただきたい。
レインウェアの保管環境とは?
レインウェアにも適した保管環境があるので注意してほしい。
保管環境といっても、それほど大げさなものではないが次の2点は必ず守るようにする。
- 高温多湿の場所を避ける
- 直射日光に当てない
高温多湿の場所に長期間置くとカビが生えやすくなったり、嫌な臭いの原因にもなるので気を付けよう。
できるだけ風通しの良い場所を選ぶのが理想だが、必要に応じて乾燥剤や除湿剤を使うのも効果的である。
特にオフシーズンが長い場合は時々チェックをおこない、問題がないことを確かめておくと安心だ。
また直射日光に当てるのもレインウェアを傷めることにつながる。
したがって窓の近くや車内といった場所は厳禁なので、うっかり置かないようにしていただきたい。
これらを守るだけでもレインウェアの寿命が違ってくるので徹底しよう。
しまう際に注意したいポイント
メインテナンスが終わったら保管しておくのだが、この時もちょっとしたコツがあるので気を付けてほしい。
それがハンガーに吊るしておくことである。
できればコンパクトに折りたたんでおきたいところだが、そうすると長い時間折り目をつけ続けることになる。
すると折り目から傷んでしまうので、常にたたんだままにするのは避けたい。
普段から持ち歩いているのであれば仕方がないが、そうでない限りは収納袋に入れたりしない方が良いだろう。
確かに収納袋に入れておけば準備が楽になるものの、レインウェアにとっては負担が大きくなってしまう。
それを考えたらフリーの状態にしておくのがベストと言える。
レインウェアがあればたとえ雨が降っても肉体的、精神的なストレスを軽減してくれるのは確かである。
それに雨に濡れないというだけで、ポジティブな気持ちになれるのもメリットの一つだ。
そんなレインウェアを長く使い続けるためには、この機会に保管方法と取り扱いについて見直してはいかがだろうか?
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