クラリネットやサクスフォン(サックス)などに使われているリードは、音色を左右する大切なパーツである。
そのリードのコンディションが悪いと、満足のいく演奏ができなくなってしまうため、取り扱いには注意が必要だ。
そこで今回は最もシンプルなシングルリードについて、保管の際に守るべきポイントを中心にご紹介していこう。
すでにご存じのこともあるかもしれないが、より理解を深めながら読み進めていただきたい。
リードを育てる必要があるのは何故?
リードを育てるってどういうこと?と思われるかもしれないが、実はとても大切で必ずやっていただきたいことである。
それは何故かというと、リード本来の性能を引き出すために必要になるからだ。
同時に長持ちするさせることになるため、新しいものを購入したら欠かすことができない作業でもある。
リードはご存じの通りケーンと呼ばれる葦(あし)からできているが、天然の素材であるため品質も一定していないのが現状だ。
産地や気候による違いはもちろんのこと、製造過程でもバラつきが生じてしまう。
それを購入してすぐに使ったらどうなるかというと、満足に使えるもは少なく半分も使えないといったことが起こる。
これを時間をかけて丁寧に育てることで、ほどんどのリードが使えるようになる。
最近では樹脂製のリードも良いものが出てきてはいるが、ケーン製リードに追いつくまでに至っていない。
今後はさらに改良が進んでいくだろうが、音色の違いをどこまで近づけることができるかは分からない。
いずれにしても、ケーン製リードはこれからも使われ続けるはずであり、大切に育てていく必要がある。
あとは保管をしっかりとおこなうことで安定した演奏ができ、満足のいく音色も出せるようになる。
リードの保管で注意すべきポイント
変形させない
リードの変形は演奏に直接影響を及ぼすので避けなければならない。
変形してしまう原因としては湿気によるものがあり、音が変化してしまうといったことにつながる。
先端が反ってしまったり波打つことも珍しくなく、中には割れたり欠けてしまうことある。
こうなると音そのものがおかしくなるのは言うまでもないが、リードミスが起こりやすく演奏中に変な音が出てしまう。
特に梅雨の時期は湿度が高くなるため、変形を防ぐためにリードケースを使うのが良いだろう。
おすすめはガラス製のケースで、リードを真っすぐな状態に維持できるのが特徴だ。
落としたりすると割れる心配があり価格も高くなってしまうが、プラスチック製よりは確実な保管ができる。
清潔を維持する
リードは直接口をつけるものなので、清潔にしておきたいところだ。
そうかといって現実には洗ったりしない、あるいはできないと思っていないだろうか。
ところが気を付けておこなえば洗うことも可能だ。
方法はとても簡単で、静かに水を流しながら指の腹で中央から先端に向かって、軽く数回擦ってやるだけでOKである。
この時、力を入れると傷めてしまうので、決して強くおこなってはならない。
洗い終ったらスワブなどを使って、水分をしっかりと拭き取ってケースに入れて保管しておこう。
通常であれば演奏後に水分を拭き取っておくだけで十分と言える。
しかし、洗うことで清潔に保つことが可能なため、臭いや雑菌が気になるようであればトライしてはいかがだろうか。
一定の湿度を保つ
湿度によってリードが変形することはすでにお伝えした通りだ。
そこで一定の湿度に保つために、保湿剤を使うと効果的である。
リードを保管する際には”湿気を吸ったり乾燥したりの繰り返し”を防ぐことが最も重要になる。
そうはいっても葦(あし)という自然の素材でできているため、避けきれないことではあるが、いかにコントロールするかで使いやすさと寿命が決まってくる。
保湿剤を使うことで最適な湿度に保てるというわけだ。
これには3種類が用意されており、84%、73%、58%の中から選ぶことになる。
即演奏可能な状態で保ちたいのであれは、84%を選ぶと良いだろう。ただし湿度が高い分、カビには注意が必要である。
通常の保管を目的とするならば73%を選び、演奏前に少し湿らせてから使う。そして、長期保管をするならば58%を使うといった具合だ。
長持ちさせるための取り扱い方とコツ
長い期間リードを使いたいのであれば、それなりの扱い方をしなければならない。
雑に扱ったりすると、どんなに良いリードであっても長持ちさせることができないからだ。
まず使い始めは長時間装着しないことが大切になる。これはリードを育てる時の基本でもあるので忘れないようにしたい。
それをいきなり最初から多用してしまうと、あとあと使えないものになってしまう可能性があるので気を付けよう。
育成は徐々に慣らしていくイメージで演奏時間も長くなってくる。それと同時リード1枚にかかるに負担も大きくなる。
その対策として数枚用意しておき、ローテーションを組んで負担を減らしてあげよう。
無理をしないでなるべく短時間で交換する方が結果として長持ちする。
あとは正しい保管方法をきちんと守っていれば、より良いコンディションを保つことが可能になるはずである。
リードの管理といっても、なかなか簡単にはいかない部分があるのは事実だ。
しかし経験を積みながら上手にコントロールできるようになると、今以上に演奏するのが楽しくなるに違いない。
そのためにもまずは基本を守りながら、少しずつ工夫してみてはいかがだろうか。
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